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2009.02.19

『仮想儀礼』 篠田節子 > 「このミス」完全読破 No.159

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.159

 『仮想儀礼』 篠田節子   ( 2010年版 7位 )

   読始:09.1.31 ~ 読終:09.2.17

仮想儀礼〈上〉仮想儀礼〈上〉
篠田 節子

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 社会的に落ちぶれてしまった中年2人が、金儲けのために新興宗教を作る話です。

 実は、自分はかつて、友人が通っていたキリスト教系の新興宗教に何年か遊びに行っていたことがありました。

 ただまあ文字通り“遊びに行っていた”だけであって(人生勉強の意味もあったけど)、深入りすることはなかったし、そこの宗教的なことに対して否定しない代わりに肯定もしていなかったので、あくまで中立の立場でいたのですけどね(ちなみに、毎日のように通っていたのではなく、日曜日の礼拝やイベント的な時だけのゲスト的参加でした)。

 そんな経験をしていたこともあって、この題材にはとても興味を惹かれ、読むのが楽しみでいました。

 だけど、こういった出だしだとすると、最初はその主人公達が立ち上げた宗教は成功して成り上がっていくものの、頂点を極めると同時に問題が多数起き、その後は転落していく様が描かれていく.....、といった展開をどうしても思い浮かべてしまって、そうなると、そういった状況を主人公目線で生々しく読むことになるので、これはちょっと読んでてキツそうだな~と戦々恐々しながら序盤を読んでいました。

 それで読んでみたらやはりそんな展開になっていったのですが、ただ、そういったストーリー的な部分がこの作品の主軸となっているのではなく、様々な状況下における主人公やその教団や周りに群がる人々の描写こそが主軸となっていて、自分が危惧していた“読み進める辛さ”はあまりなかったのでホッとしましたね。

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 それから、宗教を題材にしていることもあって、宗教を信じる者と信じない者との対比が書かれているのですが、その中心は「全く信仰心などないのに教祖を務めている主人公」と「信仰心の固まりのような信者たち」との対比、「主人公が作り上げた宗教組織」と「それをいかがわしく思う一般市民」との対比、といった感じです。

 つまり主人公2人というのは、宗教を信じる&信じさせる立場にいながらも内心では全く信じていないという、八方美人的な二面性を持っていながらも板ばさみ的でもあって、そんな一風変わった立場がまたなんとも面白い状況を作るのです。

 そしてそんな中立的な立場だからこそ、日本人と宗教の関わりとしてのプラス面やマイナス面が克明に暴き出されてくるので、そんなとこからも、このテーマとキャラクターの融合具合がとても上手いなと感じましたね。

 とまあこんなふうに書いていると、宗教に対して全く関心のない方や否定的な感情でいる方なんかは、この作品に対しても避けたい気持ちにさせてしまうかもしれませんが、しかしそういった人ほど読んで面白いと思えるに違いありません。何せ、物語の中心的存在である主人公自体もそういう人なのですから。

 それに、教団を頼ってくる人々の過去や現在の状況など、かなりヘヴィーな描写も多いのですが、そんな重さも吹き飛ばしてしまうくらいに作品世界に引き込まれ、ページをめくる手も止まらないほどなので、分厚いうえに上下巻というこのボリューム感に敬遠してしまいそうな方でも、読み始めてみれば気にならないと思います。

 そして忘れてはならないのが、それまでの流れとは違った方向に暴走するかのような終盤の展開ですね。それまでもかなりの面白さだったのですが、この終盤における狂気っぷりにはもう圧倒されまくりで、面白いとか楽しいとかそういったレベルを超えるような恐るべきパワーを堪能することができました。

 「「このミス2009年版」投票者なりきりベスト6」を読んでもらえればわかるように、自分が好きな作品、評価が高くなる作品というのは、どれだけ自分が圧倒されたかで決まる傾向にあるようです。

 なのでこの作品が「2010年版」対象作品の中では最初の★5つの満点評価となるのは、至極当然なのですねェ。

(後日追記)
 この記事を書いていた時は★5段階評価でしたが、その後に★10段階評価に変更したので、それに伴い満点評価ではなくなりました。
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  > 個人的評価 : ★★★★★ ★★★☆☆


   本格ミステリ度 : ★         鬼畜グログロ度 : ★★★
   ビックリ驚愕度 : ★★        おどろおどろ度 : ★★★
   熱アクション度 : ★★★      主キャラ魅力度 : ★★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★★★★
   下ネタエッチ度 : ★★★      感涙ウルウル度 : ★★★
   衝撃バカミス度 : ★★       気軽に読める度 : ★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “篠田節子” 関連記事 】

  > No.213「薄 暮」  > No.159「仮想儀礼」


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  >>> 「このミス」完全読破 読破本リスト <<<

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