『夜の蝉』 北村薫 > 「このミス」完全読破 No.46
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.46
『夜の蝉』 北村薫 ( 1991年版 2位 )
読始:07.09.18 ~ 読終:07.10.08
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“日常の謎”タイプの作品では第一人者といえる作者の、代名詞的な“円紫師匠と私”シリーズの第2作目です。
第1作目No.13 「空飛ぶ馬」の時は、超絶ホラー作品No.12 「黒い家」 貴志祐介の後だっただけに、読んでいて妙にホッとしたことを憶えています。
しかし今回は、あの時のように“作品のタイプが180度変わる”ような流れではないし、このシリーズも2作目ということもあって、すんなりと作品世界に入り込むことができました。
と思っていたら、この作品の次に読むことになったのが、鬼畜系ホラー作品 No.47 「独白するユニバーサル横メルカトル」 平山夢明 だったので、やっぱり“作品のタイプが180度変わる”流れになってしまったのですけどね。
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今回も、大学2年生である主人公が、周囲で起こる“日常の謎”を円紫師匠と共に解いてゆく、3編からなる連作短編集なのですが、その共通のテーマの一つに“姉との関係”があります。
最初の2編では、この姉妹関係をそれとなく匂わせといて、最後の表題作で核心に触れるのですが、これがなんとも素晴らしいんですよねェ。
この姉妹間に横たわる問題というのは、本人達にとっては決して小さくない種類のものであるだろうけど、他のミステリ小説なんかに出てくるような“家族間の軋轢”と比べると、全然スキャンダラス性はないし、ごく一般的なもののように見えるのです。
しかし、そんなありふれた話であるにも関わらず、ラストに向かうにつれてすごく心を動かされるのですよね。これは静かな感動ではあるのですが、その分ゆっくりじんわりと心の奥底まで広がっていくような感じで、読後は物凄くさわやかな感動に浸ることができます。
衝撃的なストーリーではなく、ありふれた話でここまで心を動かす作品を書けるのは、やはりこの作者の“技”ですよね。具体的にどんな所が凄いのかはわからないですが、それでもこの作者の力量がとんでもないものだということは自然とわかってしまいます。
このシリーズが20年近く経つ今でも評価され続けていることが何よりの証明となりますが、実際に読んでみれば、なんの疑いもなくそれを理解できますからね。
このシリーズも残り3作。また良いタイミングで読みたいですね。でもやっぱり前後のどちらかで“超絶ホラー作品”を読む流れになるのでしょうか.....。
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「夜の蝉」 北村薫 個人的評価 : ★★★★☆
【 過去の 北村薫 作品 】
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